三味線の知識・選び方と作業風景



・・・和楽器市場では、三味線の製造を行っております。ここで製造現場の一部だけをご紹介いたします。・・・


      紅木材の原木から仕上げ、皮張り、糸巻き仕込み・・・
      墨付けから仕上げまでは、各材質とも同じですが紅木原木に対する墨づけは特に難しく、棹に巻かれるあの綺麗な
        「トチ」は、この墨付けの技術いかんによって「トチ」がよく出たり、また少なくもなるので最も重要な作業です。
        木取りされた荒木は、半年以上自然乾燥させたものを使用します。



↑紅木の原木(原産地:インド)



↑墨付けされた原木(紅木)
※墨付けの技術でトチをよく出します。
↑胴の原木花林(原産地:タイ)



↑木取りされた三味線の棹。

↑完成後の胴。



↑木取りした棹を職人が丹精込めて仕上げます。

ご注文後に糸巻きを仕込みます。
↑ご注文後に手張りで皮を張り上げます。







全国的に和楽器(三味線、琴等)は非常に高い価格で販売されているのが現状でございます。和楽器人口が年々減っている中で、このように和楽器を高価格(数十年前と同じ)で販売していたのでは、三味線や琴を習いたくても、楽器購入がネックとなり断念してしまう方も少なくありません。和楽器市場では「少しでも多くの方に和楽器を始めていただきたい、良い音色の楽器で演奏していただきたい」との思いで、低価格販売を営業方針としております。より良い品質と確かな技術でご満足いただける商品をお客様にお届けするために日々努力いたしております。

  花林材(お稽古用)       初級用として使用されます。
 
 花林材は主にタイで産出されます。
 木質が粗雑で目が粗く紫檀や紅木に比べると柔らかく、初級用として
 使用されます。
 花林材は値段も安く、それでいて狂いも来ませんので、お稽古用として
 使われているというわけです。
 尚、木質が音響的に胴に適しているため、お稽古用、演奏会用問わず
 基本的に三味線の胴は花林で出来ております。

  紫檀材       中級品ですが、現在では製造いたしておりません。
 
 紫檀材は主にタイで産出されます。
 木質は緻密で、堅くて、重く棹には最適です。
 三味線の中では中級品で音質的にも中級品でございます。
 主にお稽古用、演奏会用として使用されます。
 
紅木材(演奏会用)       高級品











 
 
※和楽器市場の使用する紅木材について
 
紅木材はインド南東部奥地の岩場の窪みの土に生殖している木です。
 材質は水に沈むほど緻密で堅く歪がこないので三味線の棹としては
 最も適しています。音色が良く木目とは異なる美しい模様(トチ)が多く
 浮き出ている物ほど高級品として使用されます。木地の色は黒っぽい物
 や赤みがかった物があります。紅木三味線の中でも最高級の三味線を
 金細と言いますが、金細三味線に使用される紅木材は樹齢200年以上
 経っております。しかし、このような樹齢200年以上経った紅木は今までの
 三味線ブームにより数が減少しているのが現状でございます。
 最近の紅木材は三味線用として植林されて育ったもので材質が本来の
 物よりも柔らかく、価格も高くなっております。
 弊社では自然に育った紅木材を20年前から大量に確保しておりお求め
 やすい価格の物から最高級クラスの物まで対応いたしております。
 これから三味線を本格的に始められる方は、はじめから良音質の紅木
 三味線で練習されたほうが耳が肥えてきますので上達も早いと言われて
 います。
 尚、弊社の紅木三味線はプロの演奏家や全国の皆様にご愛用いただい
 ております。




三味線の選び方と
技術について


 お客様の中で最も問い合わせが多いのは「今から三味線を始めるの
 ですが、どの程度の三味線を買えばいいのでしょうか?」という内容です。
 三味線には上記でもご説明しておりますが、花林材、並紅木材、金細と
 3つに分けられます。(独学やとりあえず軽い気持ちで)とお考えの方は
 花林材のお稽古用三味線をお勧めいたします。しかし、これから本格的
 に長く続けようと強い意志をお持ちの方には花林材のお稽古用ではなく
 紅木三味線をお勧めいたします。なぜなら三味線をなさっている95%の
 方が最終的には紅木三味線、又は金細三味線を購入されているからです。
 花林材を購入して、その後紅木三味線を購入される場合よりも、最初から
 紅木三味線を購入された方が金額的にもワンランク上の三味線を手に入れ
 ることが出来ます。さらに良い音色の紅木三味線で練習された方が耳も
 肥えてきますし、上達も早いといわれております。
 
 ※近年インターネットの普及と和楽器ブームも重なり、今まで和楽器を
 扱ったことのない会社が技術・知識のないまま三味線や琴などをただ単に
 インターネットで安い価格で販売しているのを目にします。
 三味線、琴等の和楽器は技術が全てでございます。「安かろう悪かろう」
 ではいけません。
 技術がなければ質の良い楽器でも音は絶対に鳴りません。三味線では
 主に皮張り技術、琴は糸締めの技術、楽器の音を最大限に引き出すのが
 職人のこの技術でございます。特に三味線は皮の質と張りの技術で音が
 決まります。お客様の中で「他店で高価な三味線を購入したが音質が
 あまり良くない」と言ったご相談をお受けいたしますが、これは皮の質と
 強く張れていないのが主な原因です。最高の張りの技術は表面と裏面との
 皮の厚さ、張りの強さのバランスを考えてながら、いかに強く張れるかですが、
 これが簡単そうで非常に難しいのです。
 弊社では長年の経験で培ってきた職人の質の高い技術がございますので、
 品質、音質には絶対的な自信がございます。

 また、中には紅木棹の所々を埋めて修正したものなども多く出回って
 おります。埋めてあるものは長く使っていくうちにその部分がひび割れの
 ような状態になります。
 弊社の三味線は価格を抑えておりますが、そのような傷物は一切製造、
 販売はいたしておりません。無傷で上質な紅木材のみを製造、販売
 させていただいております。

 高額な商品ですので、以上の点をご参考に慎重にご検討下さいませ。


胴は、安い花林棹から紅木の高級品に至るまですべて花林材を用います。木として木質が柔らかく、音調を出すのに最も適しているからです。胴には丸打胴と綾杉胴がございます。綾杉胴とは音質効果を高めるために胴の内側に綾杉彫りをを施してあり、一本綾杉と子持綾杉の2種類ございます。子持ち綾杉は一本綾杉の上に更に一本綾杉を彫ったもので、子持ち綾杉の方が更に音質効果を高めます。花林や紅木の並物には丸打胴を、紅木金細等の高級品には綾杉胴がつけられます。※和楽器市場の金細三味線の綾杉胴はすべて子持ち綾杉胴です。

↓丸打胴(花林や紅木の並物に使用) ↓子持綾杉胴(紅木金細等の高級品に使用)



なぜ、綾杉胴は鳴るのか?


※右の図は綾杉彫りを施した胴の実態を示したものです。
まず、撥で第一図発音箇所を「テーン」と弾いたとします。音波は発音箇所を中心に胴全体に直進します。直進した音波は、胴の綾杉に当たり、直ちに反射して折り返られます。この綾杉に当たって折り返される時に、音波は綾杉波状音波に変化し弱くなり、微震動となって(音の細かい動き)となり元へ戻ります。弾かれた音が直行音ではなく、微震動であればあるだけ良い音を感じるのです。これが図のように5本の線ではなく、全体的に音が綾杉に当たり、折り返されるのですから音響学の理論をまつまでもなく、綾杉彫りのよさにはうなずけることと思います。

平ほぞ
一枚溝
二枚溝金細
平ほぞ
一本のほぞだけで、溝がなく、稽古三味線の花林棹が、この平ほぞです。
一枚溝
一本のほぞに平行して溝が作られ、二級品に施されます
二枚溝金細
一本のほぞの両側に、二本の溝が作られて、棹の継目を安定させる
もので、高級品に施されます。
金細とは、三味線の最高級品を表現した名称で、トチの入った紅木棹の
継手に、金の金具を埋め込んで仕込みます。

※二枚溝金細
継手に金が埋め込んであります。


三味線の棹は基本的に三つに分解できるように作られて
います。これは持ち運びを便利にするためや棹のねじれ
を防ぐため、また部分的に修理ができるというメリットが
あります。
花林、紅木三味線問わず三本継棹になっておりますが、
一部お稽古用三味線で延棹(一本棹)がございます。
延棹の三味線は価格が非常に安く、練習用(初級用)
として使われています。



↑東さわり付

↑東さわりの調節ネジ

↑東さわりなし

※さわりとは音を鳴らしたときに「ビーン」というカラオケで例えるとエコーのようなものです。
倍音成分を増やして音色に味を付け、響きを延ばす効果があります。
東さわりは主に民謡三味線や津軽三味線などに用いられます。長唄三味線や地唄三味線などは
この東さわりは付いておりません。東さわりは裏のネジを回し、さわり付けを上下させ一の糸に触れ
させてさわりの均衡を保ちます。
民謡三味線や津軽三味線に東さわりが付いていないと本来の音質がいたしません。
長唄三味線や地唄三味線、小唄三味線などはさわり溝に一の糸を触れさせてさわりを付けます。

[弊社が使用している皮と皮の重要性について]
まずは弊社が使用している皮と皮の重要性についてご説明いたします。
三味線の命ともいえる箇所が皮です。皮質、張り方などで音質は大きく変わりますので皮は非常に
重要な役割を持っております。三味線の品質が素晴らしくても皮の質、皮張りの技術が伴ってないと、
いくら品質の良い三味線でもよい音色は絶対に鳴りません。皮張りの技術は、一枚一枚違う皮の厚さ、
質を見ていかに強く張れるかということです。弊社では今まで幾社もの皮を使用してきましたが現在
使用している皮が最も良い音の出る皮でございます。この皮は最高級の皮で皮張り技術の高い全国
で4社の三味線店が優先的に仕入れている皮で弊社もその中の1社でございます。


[皮の種類]
三味線の皮は猫皮「四つ」、犬皮「けんぴ」合成皮の3種類ございます。


皮の裁ち方
猫皮(四つ)は、背から裂いて、左右に拡げて仕上げますから、乳が出ます。乳は(上四つ)と
(下四つ)にわかれます。(上四つ)とは皮の上部、(下四つ)とは皮の下部を言い、どっちが
良いかというと(上四つ)のほうが、皮の厚みが平均していてよいのです。(下四つ)のほうは、
皮の厚みにむらがあります。当然(上四つ)は表皮に、(下四つ)は裏皮ににします
犬皮は(けんぴ)は猫皮とは逆に、腹から裂いて、左右に拡げて仕上げますので、猫皮と
違って乳がないのです。しかし、上等の犬皮には(つけ乳)をいたします。

猫皮と犬皮はなぜ音が違うのか?
猫と犬の皮の音の相違でまず挙げられる原因は
1)猫と犬の体の大きさの違い。
2)毛質の違い
3)毛の密集状態の違い。
が考えられます。
体の大きさの違いによって、皮の厚さが違ってきます。皮の厚みが厚ければ音は重く、
厚みが薄ければ音が軽くなるのは当然です。毛質の違いは犬の毛のように太ければ、
毛穴は大きく、音の発散がよ過ぎて、音の震動率は早く弱まります。
毛穴が細ければ細いほど、音の発散が遅く、胴内に於ける音の震動率は長く維持される
わけです。
毛の密集状態の違いは、皮のきめがいい(細い)、悪い(荒い)の違いで、根本は毛質が
違うのと同じことですが、毛質が太ければ、毛穴が大きいのは当然で毛穴が大きいという
ことは、皮のきめが荒いことです。猫の毛質は細いので毛穴も細く、皮のきめがよいのです。
このことが猫皮と犬皮の音の違いですが、猫皮の場合は、その毛穴が細いゆえ、そこを音が
通過する際、皮にデリケートな震動を与え、それによりに柔らかい音色となって現れてくるのです。
四つ皮は長唄、民謡、地唄三味線の高級品に、犬皮は中級、初級用に主に使われます。
しかし、津軽三味線の場合は高級三味線でも厚い犬皮を使用いたします。


種類と選び方
三味線の種類は、「太棹三味線」「中棹三味線」「細棹三味線」に大別することができますが、さらに種目や流派などによって使用する撥の大きさや重さ、材質、音階、音質などが異なります。また、個人の好みや曲目によっても異なる場合があります。
三味線を選ぶ際、種類が多いのでどのような三味線を購入したらよいのか分からない方は、和楽器市場までお問い合わせください。
なお、それぞれの用途と特徴は、以下のとおりです。

太棹三味線  (津軽三味線等)
用途 民謡の伴奏・津軽三味線・浪曲  
特徴 吉田兄弟が演奏しているのがこの津軽三味線で、全国的に最も人気のある三味線です。
棹が太く、全体的に大きいのが特徴です。
深く重みのある音色でかなりの大音量を奏することができるので、迫力のある演奏が可能です。
屋外での演奏で、最も映えます。
「弾く」というよりも、撥で「叩く」というイメージ。

中棹三味線  (民謡三味線・地唄三味線・小唄三味線等)
用途 民謡の伴奏(民謡三味線)  琴との合奏用(地唄三味線)
特徴 民謡三味線は民謡の伴奏として使われます。東さわり付で音色の響きが美しい。
地唄三味線は琴や尺八、胡弓との合奏用に改良された三味線。家庭用座敷での演奏に適しています。
琴を習われている方は地唄三味線を使用いたします。
響きと色のある音で、音量調節はあまりできない。
「弾く」と「唄う」の調和が最もとりやすい。
小唄三味線は撥を用いず爪で弾きます。これを「爪弾き」といいます。曲は軽快で早いテンポで唄われます。

細棹三味線  (長唄三味線)
用途 長唄等    (三味線入門用楽器として多く使用されています)
特徴 全体的に小ぶりで、棹が最も細く、軽く乾いたような透明な音色がいたします。
学校教材用や三味線入門用楽器としても多く使用されていますので、これから趣味として
独学で始められる方はこの長唄三味線の花林材をオススメいたします。